快刀乱麻

この時期、喪中はがきが届く。

その中の一枚を見て、驚きと申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

年の離れた腹違いの弟からだった。
母が今年亡くなったと・・・

彼のお母さんは、僕の父が離婚した後、結婚した相手だ。
再婚していたのは知っていたが、もちろんお付き合いは無かった。
初めて会ったのは、父が病気を発症し、もう余命が短いから、
子供を連れて（父にとっては初孫）見舞いに行って欲しいと何十年
ぶりかに叔父さんから電話が有って、病院に行った時だったと思う。

どんな人かと思ったら、見た目よりも優しい人で、僕に頭を下げて
これからお付き合いをお願いしたいと言われた。また、年の離れた
弟にあたる息子たちのこともお願いしますと言われた。
急にそんなことを言われても困るなあと思ったけれど、あまりにも
謙虚で、僕の女房も子供たちも優しく受け入れてくれたので、嫌な
気持ちは湧かなかった。

彼女は、とにかく僕を本当の長男としてたててくれて、父のお通夜の
時にも何十年ぶりに父方の伯父さん叔母さんたちに逢わせてくれたし、
葬儀の時には、焼香順位を一番にしてくれた。
もちろん、その後の法事もすべて出席した。

彼女が僕をたてたのは、僕を棄てた父ではあったけれど、父の最後の
入院時には毎日のように足を運んだからかもしれない。

父がいなくなっても、時折線香をあげに行っていたけれど、子供の
成長にしたがい段々と足が遠のいていた。
女房が時折出逢っていたり、近所の先輩から様子を聞いていたので
心も遠のいていた。

別府の街を通るたびに、父に線香あげに行ってないなあと思ってい
たら、こんなことになってしまい、本当に心から申し訳ない気持ち
でいっぱいだ・・・

もし、あんな父でも、一緒に暮らして幸せだったと思いながら人生
を終えたのなら、もう一度、父と、今まで以上に幸せな生活をおく
って欲しいと思う。

今年の喪中はがきは、この一枚が重く重くのしかかってきた。